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鎖 その5
ネタばれあり。鎖レビュー、恵編。

鎖の真のヒロイン片桐恵

事件前はあまり目立たない存在で物静かなメガネ娘それ以上でも以下でもない。
ただ主人公と二人きりになるプロムナードのシーンでその本質をかいま見せます。事件前ではこのシーンとここの恵だけは評価できるかも。
事件発生後は唯一主人公以外で(主公以上に?)冷静に考え、状況に対処できるキャラとして味方に敵に(!?)と活躍します。

バッドエンドを除いて唯一エンディングが両ルートにあり、その上夜の扉ルートでは一度見たあとに再度やりなおすと真のエンディングへ行けるようになるという仕様。いかに恵が鎖で重要なキャラかがわかります。

月の扉での恵エンドは無事生還し主人公と一緒に街を歩くシーンで終わります。
これが恵にとって唯一のハッピーエンド。
そして夜の扉の恵ルートで真実が明かされます。

鎖というゲームの本筋は岸田という最悪の殺戮者と主人公の対決の物語です。
それは偶然ではなく、岸田が自ら殺しあう相手として主人公を選んでいます。
そのために岸田は邪魔になる船員たち大人を先に皆殺しにしています。
(この辺り自分の楽しめる相手だけ残して等の岸田のしょぼさ、へたれぶりはちはやエンドで描かれます)

その本筋の周りで可憐との恋愛シナリオがあったり、明乃の最悪ぶりがあったりするのですが
夜の扉の恵ルート(そのセーブ名も真実の扉)ではその主人公と岸田の対決の図式のさらに上に別の構図があることが明かされます。

最初に岸田に襲われた恵は命を助けてもらう代わりに協力することを余儀なくされます。そして岸田は裏切らないように船員の一人を恵に殺させます。

女性という体格差もあり襲われた相手に協力をしなければならない屈辱を受け入れて、それでも恵は自ら生き延びるための戦いを開始します。
こう書いてみると真のヒロインというよりは真の主役ですね。
その目標は全てを知る岸田を殺し、かつ他の人間にはこの事実(人を殺したこと、裏切っていたこと等)を知られずに遂行することです。

唯一岸田に勝てる見込みのある主人公を時には助け、時には叱咤し状況を進めていきます。
それは主人公だけではなく岸田すらもコマの一つとしてプレイする孤独な命がけのゲームです。
そんな恵の目的が理想的な状態で達成されたのが月の扉のエンドでした。

この二重構造が明かされた時には衝撃を受けました。
月の扉のエンドにはそういう裏があったのか、すべて恵の思惑通りに踊らされていたのかと。

ありふれたしかけでも、単に言葉で説明されるより、実際に体験させることで何倍もプレイヤーにそのことを実感させられるゲームというジャンルでやっているところに鎖の面白さがあります。
それこそ恵に見込みがないと判断されて恵に殺されてしまうエンドすらあります。

しかしそんな思惑があろうとなかろうとブチ破って恵を救うのが真の主人公のありようなのに鎖の主人公にそこまでの力はありませんでした。
よく(月の扉エンド)もわるく(夜の扉エンド)も恵の思惑の中でしか行動できず。結局真相を知られたとき恵は一人炎上する船に残ることを選択してゲームは終わります。
ひぐらしの圭一ならそんなしゃらくさい恵の思惑なんかふっ飛ばし恵を救ってしまうだろうに。そういう意味でも真の主役は恵と言えるかもしれません。
by nayuta_m | 2006-01-24 23:16 | ゲーム
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