半分の月がのぼる空4巻読了。
アニメ版が全六話で六話のタイトルが「僕たちの両手は」になってるからこの4巻まで進むよう。
4巻目で一気に化けた。
これまでは雰囲気を楽しむ、悪い言い方をするとテンションの低い物語だったけど
一気にクライマックス。
はじめ目次を見たときはなんじゃこりゃと思った(それで今まで積んでた)
半分を占める夏目の過去の物語。
これがいい話すぎ。
小夜子さんは夏目にもったいなさすぎ。
同時進行で裕一が里香に会おうとする話が進むんだけど
その話が邪魔に思えるくらいこの新しくて古い物語に引き込まれていった。
でもそれが読み進めるにつれて
いつのまにか現在の裕一の方に感情移入している自分がいる。
この辺の構成は魔法レベル。
最後に里香と裕一が対面するまさにクライマックスになるんだけど
夏目と小夜子さんの話があるからこそ、ここまで盛り上がる。
月並みだが夏目と小夜子さんを裕一と里香に重ね合わせて今後の悲しい展開を想像させている。
それに加えて気絶中の夢(?)の形でも直接悲しい未来を見せている。
そういう二重三重の直接的にも間接的にもエピソードを重ねて重ねてクライマックスを盛り上げる手腕はすごい。
ある意味アニメ版がここで切るのもうなずける。
きれいですばらしいクライマックスだった。
未来の夢が現実で最後の対面のシーンが締めでも全然文句なかった。