ユニゾンシフトブロッサムの傑作Flyable Heart(以下フライア)のスピンオフゲーム。
>システム
基本はフライアと同システム。
ピンクを基調としていたフライアに対して青系でデザインされているのでイメージはガラっと変わっている。
フルプライスのフライア同等のセーブポイントがあるので毎日セーブしても余る点は良し。
あとワイド画面が標準になってるのは良進化点。
>グラフィック
大半の立ち絵はフライアの使いまわしなのでクオリティは高い。
後半の新キャラについては立ち絵が新規で作られているが、そちらも見劣りしないレベルで立ち絵は合格。
だが残念なのが一枚絵。
前作のハイクオリティが嘘のようにバラツキがあり別人度も高い。
せっかく一枚絵の枚数はフルプライスに見劣りしない枚数があるのにこれでは逆効果。
イベント絵がでると逆にテンション下がるレベル。
>シナリオ
名家のお嬢様との恋という非常にオーソドックスな筋立てのシナリオ。
前半の学園編、後半の白鷺家編どちらも過不足ないボリュームでしっかり描かれている。
前半の学園編はフライアと類似した展開。
茉百合にフォーカスして必要のない部分(特にコメディ分)はオミットされて進む感じ。
でもボリュームが落ちたようには感じず描くべき事はきちんと描かれる。
特にフライア時より深く描かれる桜子と茉百合の関係はみどころのひとつ。
あとフライアと違い、飛ぶ前の世界なのでその辺の違いも楽しめる。
後半の白鷺家編は登場キャラも雰囲気もガラっと変わり、学園物から屋敷物へ。
新キャラの白鷺家の面々が一々癖のあるキャラなので登場キャラ数が減っても物足りなさはなし。
まあ主人公の晶君がほぼ活躍しない事以外は良シナリオ。どう見ても会長の方が頑張ってるよ。
シナリオに仕掛けられたギミックは事前情報を入れずにプレイする価値はある。
>エチ
正直、茉百合のフライアキャラランクは下から数えた方が速い自分としては期待していなかったんだが、それを差し引いても一枚絵のクオリティが苦しい今作ではエチシーンも一枚落ちる感はある。
茉百合以外で唯一エチシーンがあった三女がなかなかぶっ飛んでいて良かったのが救い。
話が出るだけで描写がなかった過去のエチだが、エロゲーとして出すならその辺の描写も入れて欲しかった。ふつーに物語として見れば無くてもいいんだけど。
>総括
フライアで急激に読ませるシナリオになったユニゾンシフトブロッサムだが、その変化が突然変異ではなく確かなものだと実感できる良ゲーム。
選択肢はほぼ無しの一本道だし、エロもいまひとつ。純粋にゲームとして見ると絶賛はできないが、ADVフォーマットで読む物語としては高クオリティの一本。